今までの「自立ってなんだろう?」のまとめ

お久しぶりの”せなパパ”です。

ちょっと、「自立」について今まで考えてきた中で「自立」とはなにかを整理してみたいと思います。

多くの人は「自立」とは、「人に頼らず、自分で何でもできるようになること」と考えがちです。

「人に頼る」ことは「依存」と言えますから、「自立」の反対は「依存」であると考えがちなんですね。

しかし、今まで「自立」について考えてきましたが、結論から言うと、「自立」の反対は「依存」ではありません。

多くの人は「自立」の反対は「依存」だと考えがちですが、実は違うということを考えてきましたね。

逆に、「依存」の対象がない、または、「依存」の対象が極端に制限されていることが「自立」を妨げている要因であるということです

そして、「依存」の対象を多く持っていて、それを自分で選ぶ(自己選択)ことができることが「自立」するということだと考えてきました。

例えば、高層ビルの高い階にいて、大きな地震があったとします。

すぐに避難しなくてはなりませんが、エレベーターは動かなくなっています。

健康な人は階段を利用(階段に頼る=階段に依存する)したり、窓からロープを垂らしてそのロープをつたって下に降りたりする(ロープを利用する=ロープに頼る、ロープに依存する)ことができるでしょう。

また、どの方法を選ぶかを決めること(自己選択)ができます。

しかし、体の自由が効かない人は、他の人に担いでもらったりして逃げるしかないのです(依存の対象が制限されている)。

また、母親が過剰に子どもに干渉(過保護)する場合、母親が子どもの身の回りのことなどをすべて決めてしまうので、その子どもは自分で選ぶこと(自己選択)ができません。

このように、「依存」の対象が極端に制限され、自分で選ぶこと(自己選択)ができないことが「自立」を妨げているのです。

では、「アルコール依存症」のような場合はどうでしょうか?

アルコールに依存するから「自立」できないのでは?と考えがちです。

だから、やっぱり「自立」の反対は「依存」では?という具合です。

この場合、アルコール依存症の人は、その生活のほとんどが「お酒を飲むこと」に向いてしまうんですね。

すべてが「お酒中心」の生活になってしまうわけです。

本来、生活にはいろんな要素があり、した方が良いこと、しなくてはいけないこともたくさんありますし、また、楽しみもたくさんあって良いはずです。

しかし、アルコール依存症の人は、それが全部「お酒」に向いてしまいます。

アルコールに支配されて、「お酒を飲むこと」が生活の大部分を占めてしまうことになるのです。

私たちの生活は、仕事、食べ物、趣味、お気に入りのお店など、親友や恋人、配偶者や家族、パートナーなど様々なものに依存して成り立っています。

しかし、アルコール依存症の人は、それらより「お酒を飲むこと」が優先してしまうんですね。

これでは、依存の対象がアルコールに限定されてしまって「自己選択」はできませんよね。

このように、「自立」の反対は「依存」ではなく、その「依存」の対象がないか、極端に制限されて自己選択できないことにあるという、いくつか例をあげてみました。

人は一人では生きていけないんです。

人は依存しあって生きていくものだと言えるでしょう。

そのためにお店や、いろんなサービスもあるのですから。

もっと言えば、一人では電車に乗れないという芸能人の方は結構いらっしゃると聞きます。

では、それらの芸能人の方々は「自立」できていないのでしょうか?

必ずしもそうではありませんよね。

それでも、やっぱり「人に頼らず、自分で何でもできるようになること」が「自立」ではないか、「自立支援」ってそうでしょう?と思われる方も多いかと思います。

「自分でできること」が多いと確かに依存の対象に対する選択肢が大幅に増えるんですよね。

そういう意味では、「自分でできること」が増えることはとても有効で重要です。

ですから、そういった支援もとても大事です。

しかし、それは「自立」するための「手段」であって、「自立」そのものではないといえるでしょう。

「自分でできることは自分でしましょう」というのは「自立支援」の一面に過ぎないといえると思います。

QOLの向上にADLの向上はとても有効で重要であるけども、あくまでも「自立」はQOLの向上を目的とするものであって、ADLの向上を目的とするものではないと言い換えることができると思います。

ここで言うADLとは、IADLなども含むものと考えてください。

※ADLとは、「日常生活動作」といって、一般的に「起居移動」「食事」「排泄」「更衣(着替え)」「整容」「入浴」の6動作のことです。

つまり、「自立支援」とは、ご利用者様に利用できる(依存できる)もの(サービスや制度など)を情報提供(ない場合は、新たに創るか創るように行政などに働きかけるなどする)し(選択肢を増やしてあげる)、ご利用者様ご自身がどのような生活を望んでいて、その実現のためにどのようなもの(サービスや制度など)を利用するのかを、ご自身で選ぶこと(自己決定)ができるように支援することといえるでしょう。

QOLとは、「生活の質」「人生の質」などと訳し、自己実現や幸福度を意味します。

障害を持つ方にとって、環境に働きかけられ、社会や生活環境において障害(社会的障壁)となっているものが取り除かれ、依存できる対象が増えることでQOLが高まることがノーマライゼーションと言えるでしょうか(ちょっと強引か?)。

一方、リハビリテーションは、全人間的復権なども意味し、時に環境に働きかけることもありますが、一般的には人に働きかけて、人を社会や生活環境に適応させるべくADLの向上を目指すものと言えるでしょう。

ノーマライゼーションリハビリテーションも両方大事です。

それでは、今回の最後に「自立」に関係する「名言」をいくつか上げておきたいと思います。

これらは、以前に紹介したことがあるものです。

 

「『できること』が増えるより、『楽しめること』が増えるのが、良い人生」 

                            斎藤茂太

 

 

「生きるというのは人に何かをしてもらうこと。

 生きていくということはそれを返していくこと。」 金八先生

 

 

「大人になるということは『誰にも頼らず自分の力だけで生きていける』ことなのでしょうか?

 『私の人生にあなたが必要なんです』というのは、素晴らしいことじゃないでしょうか。」 ツイッターから

 

 

「酒だけが友達だと思っていた。

 唯一の友達『酒』とお別れしたら、不思議と出会いが増えた。

 人間の友達が増えた。」 ツイッターから