こんにちは、せなパパです。
よく「精神病」って言葉を聞くことがあると思うのですが、精神科の病気にもいろいろあります。
総称して「精神疾患」と言ったりしますが、「精神病」とどう違うのでしょうか?
今回は、「精神病」と「精神疾患」の違いなどについて考えていきたいと思います。
まず、「精神疾患」は、精神科の病気を総称したものと捉えられますが、脳の障害や損傷などによる働きの変化が原因で、感情や行動に著しい偏り(かたより)が見られる状態です。
「精神障害」と同じような意味合いで使われることも多いですね。
「精神疾患」は、次の3つのパターンに分けられます。
まず1つめに「『外因性』精神疾患(精神障害)」ですが、これは、脳挫傷などの外傷や感染症などの症状性の疾患、薬物などの影響で、脳神経の働きが阻害され、精神症状が見られるものです。
例として、認知症、高次脳機能障害、肝臓障害や代謝障害によるもの、アルコール依存症や薬物依存症などがあげられます。
2つめに「『内因性』精神疾患(精神障害)」ですが、これは、原因がはっきりしないものの、何か生物学的、身体的な基盤があって発症し、精神症状が見られるものです。
例として、統合失調症、気分障害(うつ病や双極性障害)(「気分障害」はかつて「感情障害」と呼ばれていましたが、「感情」は何らかの「対象」に対して抱くもので、そういった「対象」がなくても症状が起こることから「気分障害」に改められました)などがあげられます。
そして3つめが、「『心因性』精神疾患(精神障害)」になるのですが、これは、心理的ストレス、環境的ストレスが原因で精神症状が見られるものです。
例として、急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)(PTSDとBPSDは似てますけど混同しないでくださいね、BPSDは認知症の周辺症状、行動・心理症状のことです)などのストレス反応、適応障害や心気症などの神経症、心身症などがあげられます。
また、「精神病」は、よく「心の病」などと言われることもありますが、これで考えると3つめの「心因性精神疾患(精神障害)」が、最も「心の病」といえる気がします。
しかし、最近の医学の研究では、これまでストレスが原因と考えられてきた「精神疾患」にも、脳の形態や機能異常を示唆する証拠が見つかりつつあるそうです。
そして、「心の病」という表現は、「心がけの問題」であるとの誤解を招くおそれがあるとして、「脳の病気」と表現することが適切とされています。
それでも私は、「脳の病気」とするよりは、「心の病」と言った方が、ナンダカ表現がやわらかい気がして好きですね、皆さんはどう思われますか?
続きまして、「精神病」について、考えていきたいと思います。
世界140カ国以上で展開する製薬会社のMSDが、社会貢献事業として約120年にわたり提供している医学事典である「MSDマニュアル」によりますと、
「精神病」とは、「妄想、幻覚、まとまりのない思考発語、現実との接触の喪失を示唆する奇異で不適切な行動(緊張病を含む)などの一連の症状を指す」とあります。
幻覚や妄想などを症状とする疾患群は、アメリカ精神医学会(APA)の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)」において「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」という項目に分類されることが多いので、そこに分類されている疾患について見てみましょう。(MSDとかDSMとかややこしいですよね(¯―¯٥))
ただ、「精神病」は、「双極性障害(躁うつ病)」など、他の疾患の意味として使われることもあるそうです。
そういえば以前、日本の3大精神病として「統合失調症」、「双極性障害」、「てんかん」があがっていた記憶があります。
しかし、「てんかん」は、日本以外の国では「精神疾患」ではなく、「神経疾患」のなかに入っているところも多いとも聞きますね。
う~ん、「精神病」って実は曖昧(あいまい)な気がしますね、はっきりとした決まりはなく、おおまかに、大体「そんなところ」ということですかね。
話がそれましたが、めげずに、「精神病」とはどういったものがあるのか、いくつか見てみましょう。
まずは、「統合失調症」ですね。
これは、思考や行動、感情などを1つの目的に沿って統合する脳の力が低下したために幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動などが現れる症状です(この、「まとまり」のない状態から、過去には「分裂病」と呼ばれていました)。
急性期には、妄想や幻覚を主とする「陽性症状(発症前にはなかった現象が現れる症状)」、慢性期には、感情の乏しさや意欲の低下などが起こる「陰性症状(発症前にはあったものが低下したり無くなったりする症状)」が現れます。
次に、「統合失調感情障害」です。
これは、「統合失調症」の症状に加え、「気分障害」の症状も見られるものです。
そして、「精神病性障害」です。
これは、他の「精神疾患」によらない妄想や幻覚、まとまりのない思考や行動などの「陽性症状」や「陰性症状」がある状態です。(ややこしいですね(¯―¯٥))
「精神病性障害」をいくつかあげますね。
○急激に発症した幻覚や妄想といった症状の持続期間が1日以上1か月未満で、激しい感情の揺れ動きや混乱状態を伴うものの最終的に発症前の状態にまで回復する「短期精神病性障害」(心理的な作用として起こる妄想や幻覚はこれに含まれる)。
○薬物や医薬品の使用、毒物への接触の最中や直後に妄想や幻覚が現れる「物質・医薬品誘発性精神病性障害」。
○妄想や幻覚が他の疾患(精神疾患以外)の症状として起こっていると判断される状態の「医学的疾患による精神病性障害」。
○他の「精神疾患」や薬物などが原因ではない1つ以上の妄想が1か月以上持続して生じている状態の「妄想性障害」。
なお、「妄想性障害」の主な3つの妄想の内容を以下に記します。
・ある人物が自分に対して恋愛感情をもっているという妄想である「被愛型」。
・自分が卓越した才能や見識などをもっていると確信している妄想である「誇大型」。
・配偶者や恋人が不貞をはたらいているという妄想である「嫉妬型」。
どうでしょうか。
結局、「精神病」とは、「統合失調症」もしくは「統合失調症以外の精神疾患」を原因としない「妄想」や「幻覚」を伴う症状(「双極性障害」などを含むこともある)ということができるかもしれません。
「ちょっと待った!」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
確か、「MSDマニュアル」では少し違ったことを言っていたような‥‥‥。
「精神病」ではないかな?と思われるような「妄想」っていろいろありますよね。
上に記したものも含めて妄想にはどんなものがあるのか、もう少し見てみましょうか。
・「物盗られ妄想」は、金品などを他者に盗られたと確信し主張する妄想です。
記銘力障害が原因で起こることが多く、特に「認知症」に多いとされています(なぜか日本人の認知症患者さんに多いそうです)。
・「被害妄想」は、他者から被害を受けていると確信し主張する妄想です。
「うつ病」や「統合失調症」に多く、「認知症」でも見られます。
・「貧困妄想」は、実際より経済的に困窮していると確信し訴える妄想です。
「うつ病」で多く見られます。
・「罪業妄想」は、自分が行ったことは罪ではないかとか、根拠なく自分は罪深いと思い込んでしまう妄想です。
症状が進行すると、自分の存在を否定したり、幻覚を見てしまうことがあるといいます。
「うつ病」で多く見られます。
・「心気妄想」は、実際は健康でも、死んでしまうような思い病気にかかっていると確信している妄想です。
「うつ病」で多く見られます。(「貧困妄想」「罪業妄想」「心気妄想」は「微小妄想」と呼ばれ、「うつ病」の代名詞のようになっています)
・「誇大妄想」は、上記した「誇大型」の妄想です。
「妄想性障害」や「統合失調症」、「双極性障害」の「躁状態」に多いです。
・「奇異な妄想」は、世界的な諜報機関によって監視されているとか、宇宙人に手術をされたなどといった荒唐無稽な内容の妄想です。
「統合失調症」で多く見られますが、「認知症」や「器質性脳疾患」でも見られます。
・「関係妄想」は、テレビやインターネット上での言葉や出来事、他者の行動が自分に関連がある、または、自分にとって重大な意味があると確信している妄想です。(「心気妄想」や「関係妄想」を「身体妄想」と呼ぶこともあります)
「統合失調症」で多く見られます。
・「妄想性人物誤認」は、よく知っている人が瓜二つの別人に取って代わられているというようなものや自分とそっくりの分身がいるといった妄想のことです。
「統合失調症」に多いです。
・「嫉妬妄想」は、上記した「嫉妬型」の妄想です。
なぜか「アルコール依存症」の男性に多いです。
これ以外にもまだまだ「たくさん」あります。
「妄想」だけをテーマにして記事が書けそうですね。
このように、いろんな「精神疾患」で「妄想」は見られます。
「幻覚」についても少し考えてみましょう。
「統合失調症」における「幻覚」は「幻聴」が多いのですけど、「幻覚」には「幻視」もあります。
「幻視」と「錯覚(錯視)」は混同しやすいかもしれませんが、おおまかに「幻視」は「実際にはないものが見える」現象で、「錯覚(錯視)」は「実際にあるものが、実際とは違ったものに見える」現象です。
麻薬などの薬物の使用でも「幻聴」や「幻視」といった「幻覚」は起こるといいます。
「認知症」でも「幻覚」が見られることがあります。
特に「レビー小体型認知症」では、「幻視」が顕著に現れます。
「アルコール依存症」の離脱症状でも、実際にはいない小動物などが見えることが多い「幻視」は起こることがありますが、この場合、恐怖や気持ち悪さを感じることがあるといいますが、「レビー小体型認知症」での「幻視」では、なぜか恐怖を感じないそうです。
また、「アルコール依存症」の離脱症状に「振戦せん妄」というものがあります。
「振戦せん妄」は、長期間の飲酒歴のある重度のアルコール依存症者が、飲酒を中断または減量してから2~4日目頃に出現し、通常3日~4日で回復する、身体的な合併症がある場合に起こりやすいとされている症状です。
主な症状の内容は、「頻脈や発熱」「発汗などの顕著な自律神経機能亢進」「全身性の粗大な振戦(震え)」「意識変容」「精神運動興奮」「失見当識(時間や場所、人の見当がつかなくなる)」「幻覚」などがあげられます。
この場合の「幻覚」ですが、先ほどもお話ししたと思いますが、「幻覚」のなかでも「幻視」が多く、実際には存在しない小動物や虫、小人などが多数見えたりします。
「振戦せん妄」って、もうほとんど「精神病」のような症状に思えませんか?
しかし、「振戦せん妄」は、アルコールの摂取中や摂取直後に起こるものではなく、また、「アルコール依存症」という「精神疾患」に由来するものですが、離脱症状として起こるもので、しかも、病名ではなくて状態を指すものですから、「精神病」とは言えないと思います。
まあ、「アルコール依存症」などは、それ自体は「精神病」ではありませんが、「精神病」を引き起こす要因にはなりえるかもしれませんね。
「ウェルニッケ脳症」からの「コルサコフ精神病」や「アルコール性認知症(ウェルニッケ・コルサコフ症候群と同じという意見もある)」なんてのもありますもんね。
「ウェルニッケ脳症」とは、「チアミン(ビタミンB1)欠乏(脚気[かっけ]を引き起こす)による錯乱、眼振、部分的眼筋麻痺および運動失調の急性発症を特徴とする」ものです。
「コルサコフ精神病」とは、「持続的なウェルニッケ脳症の晩期合併症で、逆行性および前行性健忘(最近の出来事の記憶がなくなり、遠い過去の出来事の記憶に頼る)の記憶障害、錯乱、行動変化(自発性、自主性の低下)を引き起こす」ものです。
これはどうなのかな?というのに、「妄想性パーソナリティ障害」というのがあります。
「パラノイア」とか「偏執病(症)」とか聞いたことありませんか?
それも、「妄想性パーソナリティ障害」の一種です。
「妄想性パーソナリティ障害」とは、「他者の動機を悪意のあるものと解釈し、他者に対する根拠のない不信および疑念の広汎(範囲の広い)なパターンを特徴とする」ものです。
自分を神か、運命などにより選ばれた、特別・特殊な人間であると信じていたりすることもあるようです(誇大性)。
これは、「パーソナリティ障害」の一種ですので、「認知行動療法」などによる治療や支援の対象にはなりますが、脳の器質障害や機能障害といった、いわゆる「病気」と言えるのかは疑問です。
ところで、MSDマニュアルでの「精神病」の定義のところで、(緊張病を含む)とありましたよね。
では、「緊張病」ってなんでしょうか?
私の以前の記事「発達障害って‥‥‥?2(ADHD)」のところでも少しだけ触れましたが、「緊張病」は「カタトニア」とも言って、「統合失調症」や抗精神病薬などの副作用である「悪性症候群」、「せん妄」、「薬物の離脱症状」などで見られます。(じゃあ、やっぱり「振戦せん妄」は「精神病」かな?)
症状は、「本人が選んだ姿勢を維持しようとする」または「他者から取らされた姿勢を本人が維持しようとする」というようなものです。
なお、後者を「カタレプシー」とも言います。
ここで、法律における「精神障がい者」の定義と「精神病」との関係について、どうなっているのか少し見てみましょう。
「障害者基本法」では、「精神障がい者」を「精神障害(発達障害を含む)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」としています。
「精神保健福祉法」では、「精神障がい者」を「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」としています。
「障害者総合支援法」では、支援の対象としての「精神障がい者」を「精神保健福祉法」で規定する「精神障がい者」のうち18歳以上の者(発達障害のある人を含む)としています。
「障害者基本法」では、「障害」に「社会モデル」を取り入れた考え方をしているのがわかりますね。
かんたんに言うと、「社会的障壁」という言葉を使って、「障がい者」にとって「障害」となる物は「社会」の側にあるということを認めているんですね(「社会的障壁」=障がい者が生きていく、または、生活していくうえでの社会にある障害となっているもの)。
「障がい者」の「がい」を「害」と書かないのも、「障がい者」自身が「障害になる人」「害のある人」であるとの誤解をまねかないためです。
まあ、なにはともかく、これらの「法律」によると「精神病」を抱えている人だけを「精神障がい者」と言うわけではないことが分かりますね。(認知症者やアルコール依存症者なども「精神障害者」に含まれることになります)
次は、「薬」で考えてみましょう。
精神科の「薬」には、「向精神薬」と「抗精神病薬」がありますね(これも紛らわしいですね)。
「向精神薬」というのは、「中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称」です。
ですから、一般的には鎮静剤や精神安定剤、抗不安剤、睡眠導入剤などの睡眠薬(催眠薬)といった精神科の薬ですよね。
それと、鎮痛剤やタバコやアルコール、麻薬なども含まれるそうです。
では、「抗精神病薬」とはなんでしょうか?
「抗精神病薬」とは、「『向精神薬』の一種で、幻覚や妄想、作為体験などの精神病症状に対して効果を有する薬物の総称」のことです。
主に「統合失調症」や「双極性障害」などの「精神疾患」の治療を目的として用いられます。
しかし、「薬」は「病気」に対して処方されるというよりは、「症状」に対して処方されるものですから、一般的に「統合失調症」の「薬」とされているものが、自傷行為や他害行動の見られる「強度行動障害」がある「認知症」や「発達障害」などに対して処方されることも多いです。
ですから、「抗精神病薬」が「精神病」に対してだけ処方されるわけでもないんですね。
「精神科病院」も以前は、「精神病院」と呼ばれていました。
でも「精神病院」と言うと「精神病」だけを扱っている「病院」と思われがちということで、誤解のないように「精神科病院」と言うようになったということです。
実際には、精神科全般を扱っていますもんね。
で結局、「精神病」ってなんなんですかね?
結局は、はっきりと「これが『精神病』です」という分類はないんですよね。
皆さんはどう思われましたか?
私は、やっぱり、「精神病」とは、「DSM-5」の「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」や「双極性障害」、「うつ病(?)」、「認知症(?)」などを指す(?)としか言いようがないような気がしますね。(?ばっかり(¯―¯٥))
すみません、ナンダカとりとめのない話になってしまいましたね。
はっきりと分かる方がいらしたら教えて下さい。
今度、いつか「妄想」をテーマにしてお話しをいきたいと思いますね。
いくつか支援?の体験談もありますし‥‥‥。
ということで、今回はここまでにしたいと思います。
これにこりずに、次回もよろしくお願いします。